『顔ニモマケズ』を読んで―「見た目問題」を考える

『顔ニモマケズ』という本に出会ったのは、たまたまでした。トリーチャーコリンズ症候群という病気について調べていたことがきっかけです。遺伝子の突然変異で顔の骨などが欠損して生まれてくる病気なのだそうです。そのトリーチャーコリンズ症候群の石田祐貴さんという方がこちらの本で紹介されていました。

顔ニモマケズ

この本の中ではアルビノ(先天性色素欠乏症)や円形脱毛症など、病気の症状が外見に出ている9人の方々が紹介されています。それぞれ写真付きです。表紙に出ている3人の方も、悪く言ってしまうと一目見て「普通の人とどこか違うぞ」と思うような容姿をしています。表紙中段の河除静香さんは2人のお子さまを持つ主婦だそうですが、読んでいてとてもわかるわかるとうなずける部分が多かったです。ぜひ読んでほしいので、あえて中身にはあまり触れません。でも、外見にコンプレックスがある人には刺さる部分が多いと思います。

私の「見た目問題」

私自身、アトピーで「見た目問題」についてたくさん考えてきた側の人間です。軽症の頃も、重症の頃も、私にとっていつも一番のコンプレックスであり続けました。世の中には「見た目が9割なんて嘘だ」という方も確かにいらっしゃるのですが、それが嘘なら外見的理由でいじめが起こることはないわけだし、「9割ではないにしてもそれだけで色んなことを決めつけてしまう人もいる」と私は思っています。なぜなら、通勤や帰宅の途中でどこの誰かも知らない人(当然私のことも知らないだろう人)から「気持ち悪い」と言われたり「うつるからあっちへ行け」言われることが結構あったからです。私はそこに居ただけなんですけどね。

全身に一番ひどい症状が出ていたとき(画質の悪い写真ですが、健康な方の皮膚とは色が違うことが一目でわかると思います)は、満員電車で自分の周りだけさーっと人がいなくなる現象がよく起きていました。「どうして先生はほかの人と違うの?」と言われたり、「どうしてあの見た目で彼氏がいるんだろう?」と言われたり、「病弱な先生はちょっと心配」と言われたり…色んなことを言われたものです。どうしてアトピーであるというだけで「ほかの人と違う」「彼氏がいるのはおかしい」「病弱である」と決めつけられてしまうのか、それが不思議でなりません。悪意があるのかないのか、こういうことを普通に本人に言ってくる人たちはいるのです。それが毎日、何年もです。

私は「かわいそう」なのか?

あとよく言われるのが「かわいそうだね」という言葉です。この言葉を投げてくる人たちの80%くらいは悪意がないと思うのですが、言われた側はとても嫌な気分になります。ウーマンラッシュアワーの村本さんが、AbemaTVの土曜TheNIGHTという番組で「自分の価値を決めるのは自分、周りの価値に左右されている人が〝周りと違ってかわいそうだね〟と言う」とおっしゃっていましたが本当にその通りだと思います。私はアトピーという病気が辛いとは思っても、アトピーだから自分がかわいそうだと思ったことはありません。

土曜TheNIGHTでの「見た目問題」の回

「見た目問題」について解決していくNPO法人「マイフェイス・マイスタイル」の代表外川さんと『顔ニモ負ケズ』で紹介されている当事者の方々4人が出演している回がこちらです。外川さんがこの番組のなかで、
・自分のせいじゃないことで何かがうまくいかないことを経験して、なんとかする対処をしてきた
・こういう見た目だからうまくいかないとすべての責任をかぶせることもできたけどしなかった
・一方病気や障害を持たない人は何かがうまくいかないときに「どこに原因を求めていいのかわからない」のでは?

とおっしゃっていたことにはとてもうなずけました。そういう「どこに原因を求めていいかわからない」人たちの悪意の矛先、はけ口として外見的な理由でのいじめも発生しやすいのかもしれないなと思います。

私も誰かの「生きるヒント」になりたい

私が教師になりたいと思った理由は、「誰かの人生に大きく関わりたい」と思ったからでした。私が教育業界から去っても未だに交流のある元生徒たちがいて、「先生に会えてよかった」と言ってくれる子たちに会えたことは私もとても良かったです。Twitterやこのブログを通して、何かしらの生きるヒントになる文章が書ける人に私はなりたいです。

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