患者が民間療法に縋りたくなる理由

がん患者はなぜ、民間療法という“幻想”に陥るのかという記事を読んで、色んな思いが渦巻きました。自分がアトピー性皮膚炎持ちであることと、米寿を迎えた祖母が悪性リンパ腫と戦っているからです。

この記事ではがん患者について取り上げられていますが、アトピー性皮膚炎も民間療法がとても多く「アトピービジネス」という言葉があるくらいです。私自身も、結構な数の民間療法を試してきたので、どうして民間療法を選ぶのかという理由はわかる気がします。

祖母のがん

認知症の症状があるものの体は健康だった祖母の「首が腫れ始めた」ことがすべてのきっかけでした。精密検査を行ったところ、悪性リンパ腫が発覚しました。88歳という歳、祖母自身が「がんだということがよくわからないのでは」ということ、介護で休職した母がそのまま退職せざるをえなくなるだろうということ、祖父はもう亡くなっているし祖母自身が判断できないので母が選ぶしかないということ。そこだけでも迷いに迷うのに、抗がん剤が効かなかったり、もしくは副作用で苦しんだりするかもといろんな可能性を考えて…。それでも母は祖母への抗がん剤治療を望みました。すると、副作用で苦しむどころか1回目の抗がん剤投与で首の腫れが大幅に引くという効果がありました。もちろん髪は抜けましたが、投与から1週間以上経って熱が出る以外には吐き気もなくご飯もよく食べています。高齢者の抗がん剤投与はデータが少ないので、医師もこんなに効くとは思っていなかったそうです。でもこれはたぶん、元々祖母がすごく健康だったからだと思うんですよ。

私のアトピー性皮膚炎

私は標準治療と民間療法を組み合わせて過ごしてきていました。重症だったところから入院して良くなり、退院したあとも良くなったり悪くなったりの繰り返しでした。私のアトピー性皮膚炎は、「ステロイドは効くけれどプロトピック(比較的新しい免疫抑制剤)は副作用の熱感や発赤のほうが大きくてまるでダメ。抗ヒスタミン薬にアレルギーが出る」という、標準治療に向いていないのではと思う体質です。アトピー性皮膚炎は直接命に関わる病気ではない(合併症で亡くなる方や精神を病んで自殺する方はいます)ので、標準治療をしても良くならないというのは地獄なわけです。祖母のがんのように、「あまりに高齢なので標準治療をしても意味がないかもしれない」という状況と似ていると思います。標準治療をしても良くならないなら、自分の納得のいく治療をしたい。治療の末に「ああしとけばよかった」って後悔しない道を選びたいということです。

民間療法は患者にとっては“幻想”ではないのでは?

外から見ると“幻想”に見えても、患者本人にとっては“幻想”でもなんでもない。自分の納得する治療をしたいとか納得するまで色々試したいという意思なのだと思います。祖母の場合は自分で治療をするか判断できないので母がどの治療を選ぶか、それで納得するかどうかということです。
私のアトピー性皮膚炎はたまたま光線療法でかなり良くなりましたが、結局原因はわからないままです。それに、光線療法でナローバンドUVBが普及してきたのもここ10~15年のことで保険適用なのは尋常性乾癬やアトピー性皮膚炎など限られた疾患だけ。その他の疾患をお持ちの方にとっては(円形脱毛症にも効果があると言われていますが)効果があっても「民間療法」と呼ばれてしまうのではないでしょうか。
科学的な根拠に乏しくても、私の皮膚には木酢液のお風呂はそれなりに効果があったので(当時他に変えたものがなかったのでこれのおかげで良くなったと判断しただけですが)、結局ものと人によるんだよなと思います。

あくどい民間療法もあるけれど

もちろん、高額な漢方薬だったり水素水だったり、「これを飲むだけでよくなる!」みたいなのはさすがにおいおいって思いますけど、それを信じてみたくなるんですよね。重症でも働けるうちは働かないと生きていけないので、仕事に行くんですけど…知らない人に暴言を浴びせられたり、電車の中で「あなたとても辛そうね、いつでもここへ連絡してきていいのよ」とかって宗教の勧誘を受けたりするんですよ。私が何をしたっていうんだって話ですよ。
それでも後から「この治療法を選んだときの私は精神を病んでいたな」とか「間違っていいたな」とか本人が思えれば良いですけど、がんの場合は直接命に関わるので進行するともう標準治療に戻れないレベルまできている場合もあります。

小林麻央さんの件で

「乳がんは命にかかわるがんじゃないのに」って書いてる方を見かけたので、はて?と思ったんですが…乳がんがもとで亡くなる方もいらしたと思います(確かに手術して元気になった方のほうが多いとは思いますけど)。
生きている限りは死ぬわけですから、とくに進行の早いがんだったら標準治療でもどうなるかわかりません。私は故人と遺族の判断を責めるのは違うなあと思います。医師がアトピー性皮膚炎にしろがんにしろ「こうこうこういう理由でインチキ民間療法にだまされるな」と警鐘を鳴らすのは良いと思うんですけどね。だいたいインチキ民間療法はあくどい医師がお金稼ぎのためにやってるでしょうから、同じ土俵にいて知識のある同業者に叩いてもらうのが一番良いと思います。がんもアトピー性皮膚炎も、病状を急速に悪化させたりお金だけ取られて症状が全然良くならないようなインチキ療法は根絶してほしいなと思っています。

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